システムやサービスを安定的に稼働させるためには、日々の運用と障害対応を担う「運用保守エンジニア」の存在が欠かせません。開発工程を支える縁の下の力持ちとして重要な役割を担う一方、働き方やキャリア形成に悩む方も少なくありません。ここでは運用保守エンジニアの働き方を、現場で必要なスキルやキャリア展望とあわせて解説します。
運用保守エンジニアの仕事内容
運用保守エンジニアは、完成したシステムやサービスが安定的に利用できるよう、監視・障害対応・定期メンテナンスを行います。具体的には以下のような業務があります。
- サーバ・ネットワークの稼働監視
- 障害発生時の一次/二次対応
- OSやミドルウェアのパッチ適用
- 定期的なバックアップやリソース管理
- セキュリティ監視とインシデント対応
開発が「作る」工程なら、運用保守は「守る」工程。エンドユーザーに安定した利用環境を届けるための重要なポジションです。
働き方の特徴
運用保守エンジニアの働き方には、他のエンジニア職種にはない特徴があります。
シフト勤務や夜間対応
システムは24時間365日稼働しているため、監視業務ではシフト勤務や夜間・休日対応が必要となることもあります。ただし、近年はリモート監視や自動化の普及により、従来よりも働きやすい環境が整いつつあります。
マニュアルに沿った対応と判断力
障害対応では手順書やマニュアルに従って復旧を行うことが多いですが、想定外のケースではエンジニア自身の判断力が試されます。そのため、基盤知識だけでなく柔軟な問題解決能力が必要です。
チームワークが必須
運用保守はチーム単位でシフトを回し、情報共有しながら進めます。個人プレーではなく、連携してトラブルを解決する協調性が求められます。
必要なスキル
運用保守エンジニアには、以下のようなスキルが求められます。
- OS(Linux/Windows)の基本操作
- ネットワークの基礎知識(TCP/IP、DNS、ルーティングなど)
- 監視ツール(Zabbix、Nagios など)の利用経験 – 仮想化・クラウド環境(AWS、Azure、VMware)の知識
- セキュリティやバックアップに関する理解
さらに、近年はスクリプト言語(Python、Shell、PowerShell)を活用して運用自動化を進めるスキルも重要視されています。
キャリアパスの広がり
運用保守の経験を積むことで、キャリアの選択肢は広がります。
- インフラエンジニア:設計・構築フェーズにステップアップ –
- クラウドエンジニア:AWSやAzureなどクラウド基盤の専門家へ
- セキュリティエンジニア:SOCやCSIRTでのセキュリティ監視へ転向
- SRE(Site Reliability Engineer:運用と開発の橋渡し役として高度な自動化・改善を担当
「守る」立場から「作る」「改善する」立場へキャリアアップすることで、年収やスキルの幅も大きく伸びます。
運用保守エンジニアに向いている人
運用保守エンジニアは、次のような資質を持つ方に向いています。
- 安定性を重視し、コツコツと業務を進められる人
- トラブル発生時に冷静に対処できる人
- チームで協力して仕事を進めるのが得意な人
- 将来的にインフラやクラウドにキャリアを広げたい人
まとめ:運用保守エンジニアの働き方
運用保守エンジニアは、システムを安定稼働させる要のポジションです。監視や障害対応といった地道な業務が中心ですが、そこで得られる経験はインフラやクラウド、セキュリティといった高度な領域へのステップアップにつながります。 安定性と責任感を持ち、さらにスキルを磨きたいエンジニアにとって、運用保守の経験は大きな財産となるでしょう。




