運用保守エンジニアは、ITインフラやシステムの安定稼働を支える重要な存在です。しかし、キャリアの将来を考えると「ルーティン業務ばかりで成長できないのでは?」と不安を感じる人も少なくありません。実際には、運用保守で培った経験は、上流工程や専門領域へのキャリアアップに直結します。ここでは、運用保守エンジニアが次のステージへ進むための具体的なキャリア戦略を紹介します。
運用保守エンジニアの役割と現在地を把握する
運用保守の基本業務
運用保守エンジニアの主な業務は以下の通りです。
- サーバーやネットワークの監視
- 障害対応と復旧
- 定期的なメンテナンスやバックアップ
- 運用マニュアル作成と改善
システムを「止めない」ことが最大の使命であり、緊急時に冷静に対応できる力はどのエンジニア職種でも重宝されます。
現場で得られるスキル
- トラブルシューティング能力
- ITILなどの運用プロセス知識
- チーム内外との調整力
- 監視ツールや自動化スクリプトの活用スキル
キャリアアップの方向性
1. インフラエンジニアへステップアップ
運用で触れてきたサーバーやネットワークの知識を活かし、設計・構築フェーズに進む道です。
- 具体例:オンプレ環境の保守経験から、AWSやAzureなどのクラウド構築案件に移行。
- 必要スキル:Linux/Windowsサーバー構築、クラウド資格(AWS SAA、Azure AZ-104 など)。
2. SRE(Site Reliability Engineer)への転身
Googleが提唱した新しい職種で、運用と開発の両面を担当。自動化や効率化が武器になります。
- 具体例:監視作業をPythonで自動化した経験を活かし、SREとしてサービスの信頼性向上を担当。
- 必要スキル:プログラミング、CI/CD、コンテナ技術(Docker・Kubernetes)。
3. セキュリティエンジニアへのキャリアチェンジ
運用保守で得た「ログ監視」「脆弱性対応」の経験はセキュリティ分野に直結します。
- 具体例:IDS/IPSやSIEMを利用した運用経験から、セキュリティアナリストに転向。
- 必要スキル:セキュリティ資格(CompTIA Security+、CISSP)、脅威分析の知識。
キャリアアップのための学習ロードマップ
ステップ1:資格取得で基礎を固める
- LPIC / LinuC(Linux技術の基礎)
- CCNA(ネットワークの基礎)
- クラウド系資格(AWS、Azure、GCP)
ステップ2:自動化スキルを習得する
- PythonやShellスクリプトで監視・運用を効率化
- Ansible、Terraformを使ったインフラ自動化
ステップ3:実案件での経験を積む
- 運用案件から構築フェーズを部分的に担当
- 社内プロジェクトで新ツール導入を主導
キャリアアップ事例
事例1:運用保守からインフラ構築へ
- 背景:24/7監視業務に従事
- 取り組み:AWS資格を取得し、自動化スクリプトを導入
- 結果:クラウドインフラ構築案件にアサイン
事例2:運用経験を活かしてSREへ
- 背景:障害対応を日常的に経験
- 取り組み:Pythonでの監視システム改善を提案
- 結果:SREチームにジョインし、CI/CDパイプライン整備を担当
運用保守エンジニアが転職で評価されるポイント
- 障害発生時の対応経験(クリティカルな場面での判断力)
- 継続的改善(運用フローの自動化・効率化)
- チームコミュニケーション能力(顧客や開発との橋渡し役)
これらは即戦力として強く評価され、キャリアアップ転職の大きな武器となります。
まとめ:キャリアアップの結論
運用保守エンジニアは、基盤を支える経験を通じて幅広いキャリアパスを描けます。
- インフラエンジニアとして設計・構築へ
- SREとして自動化と信頼性向上に挑戦
- セキュリティ領域へ専門性を深める
「運用保守だからキャリアの幅が狭い」というのは誤解です。経験をどう活かすかで未来は大きく変わります。積極的にスキル習得や資格取得に取り組み、次のステージを目指しましょう。




